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2020年06月23日

促通反復療法が目指す「患者に優しい」治療への展開, 講演, 8月19日

促通反復療法が目指す「患者に優しい」治療への展開: より効果的(効果/治療時間)な基盤的治療へ
第57回日本リハビリテーション医学会学術集会, 教育講演, 2020年8月19日, 京都
         促通反復療法研究所<川平先端リハラボ> 所長 川平和美
 
 促通反復療法が修得目標の運動を実現・反復を介して選択的に神経路を強化できるのは、治療原理が麻痺の回復や運動学習の背景にある神経路の再建・強化に必要な (1)目標の神経路への興奮伝達の反復、(2)結びつけたい2つの神経路の同時興奮を含むことによる。これによって、目標の神経路への興奮伝達を「試行錯誤なし」で実現、つまり目標の運動を実現できることが「患者に優しい」かつ効果的(効果/治療時間)な治療を可能にしている。
 中略
 促通反復療法は単なる課題遂行の反復を求めるリハビリテーション治療で避けられない多くの試行錯誤を減少できることから高い治療効率(効果/治療時間)と「患者にやさしい」治療を実現している。課題遂行重視のリハビリテーション治療との併用療法も可能で治療効果を高めることが出来る。
 促通反復療法の治療効果は脳卒中片麻痺例(急性期、回復期、慢性期)の麻痺や物品操作障害、歩行障害、ADL障害、脊髄損傷の対麻痺、変性疾患の失行に対して科学的検証で従来のリハビリテーション治療より有効であることが確認されている。
 更に促通反復療法の特徴である選択的神経路強化を活かすために神経路の興奮水準を調整するニューラルモジュレーション(電気・振動・磁気刺激やボツリヌス療法など)との療法併用を開発し、この併用療法を現在の基本戦略としている。
 この併用療法による治療効果の増大とそのメカニズム *以下は簡略に*
1) 低周波電気刺激法: 運動閾値を少し超える持続的電気刺激(TENS)で目標の神経路の興奮水準を高めた条件下で促通反復療法を行う。現在、多電極の電気刺激併用下(2-6箇の筋群にTENS)の課題遂行(物品操作や歩行など)の効果を検証中である。
2) 振動刺激痙縮抑制法(DAViS): 強力な振動刺激は運動路と感覚路の興奮水準を高めるため、治療前のウオーミングアップとして、あるいは感覚障害や神経原性疼痛の予防と治療法としての応用拡大と効果の検証が進んでいる。
3) 経頭蓋磁気刺激(rTMS): 促通反復療法を併用することで麻痺や物品操作能力の改善が増大する。
4) ボツリヌス療法(BTXA): BTXAと個々の手指運動を促通できる促通反復療法との併用では手指機能の回復が促進される。
5) 意図実現型(電気・振動による促通機能付き)ロボット: 片麻痺上肢の上方へのリーチングは難しい課題であったが、促通機能つきロボット(安川電機,AR2)はこの課題の解決を大きく進めている、物品操作ができる「役に立つ手」の実現が容易になった。
6) 複合型併用療法: 1-5)の複数を促通反復療法と併用する治療法で、大きな治療効果が確認されつつある。
 今後、これらの併用療法の研究開発と効果の検証を進める必要がある。