悲しい脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2023)

2023年11月4日

悲しい脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2023)

悲しい脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2023)が刊行されました。我が国の脳卒中片麻痺へのリハビリテーション治療(リハ治療)は海外に比べて、国民皆保険制度と回復期病棟(1日3時間、365日リハ治療、最長6ヶ月)によって、質量ともに優れています。この事実を軽視して、我が国の優れたリハ治療の発展を阻害する内容で悲しくなります。

*このガイドラインには, 脳卒中の患者に対して我々が適切な治療を選択するために参考にすべき重要かつ最新の情報が掲載されている. しかし, ここで推奨されている治療は現時点で知っておくべき最小限の標準的なものと捉えるべきである.日医雑誌 152 (7): 802-803, 2023

原因はメタアナリシスの英論文を余りに重視し、国内外のランダム化比較試験の結果を軽視ているからです。その結果、国内で発展した優れた促通反復療法や電気刺激や磁気刺激、振動刺激などとの併用療法が軽視され、海外に多い患者にのみ努力を求める治療が多く取り上げられています。
促通反復療法は患者に優しく、重度麻痺から軽度麻痺まで効果的で、電気刺激や振動刺激、磁気刺激との併用療法は更に効果的であることが複数のランダム化比較試験でも示されています。(エビデンスを参照)
私どもは「悲しいガイドライン」を越える新たな治療技術の開発と科学的な効果検証、普及を進め、「世界でも最高水準の知識と治療技術」の提供に努めます。

2-4上肢機能障害

促通反復療法について
解説: 促通手技を反復する訓練が, 軽度から中等度の上肢麻痺を改善させることがRCTで報告されている。末梢への振動刺激,…. しかしながらこれらの療法については未だ文献数が少なく, システマテイクレビューなどによる検証が十分になされていない.

引用文献: Shimodozono M, et al: Benefits of a repetitive facilitative exercise program for the upper paretic extremity after subacute stroke: A randomized controlled trial. Neurorehabil Neural Repair 27 (4): 296-305, 2013

2-5 痙縮

振動刺激痙縮抑制法について
解説: 局所的筋振動刺激は盲検化が困難であるが, 上肢痙縮に対する有効性がシステマテイクレビューで示されている.

引用文献: Noma, T. , et al: Anti-spastic effects of the direct application of vibratory stimuli to the spastic muscles of hemiplegic limbs in post-stroke patients: A proof-of-principle study. Journal Of Rehabilitation Medicine, 44(4), 325-330, 2012.