麻痺が改善、なぜ、どうすれば
神経路を再建・強化する方法は?
神経路の形成と強化には、強化したい神経路に興奮を繰り返し伝えることが必要です。 興奮を神経細胞から神経細胞に伝えるシナプスは、興奮を繰り返し伝わると強い結合になります。 これが神経路の強化です。効果的な麻痺改善の方法は?
麻痺を効果的に(改善度/治療時間)改善するためには、強化したい神経路(目標の神経路)へ繰り返し興奮を伝える工夫が必要です。 まず、損傷を受けた神経路のバランス(興奮水準)を整えるウオーミングアップ(経頭蓋磁気刺激や四肢への電気刺激、振動刺激、ボツリヌス療法など)」を行い、次に、患者が運動を始める時に目標の神経路を教える操作を行なうことが効果的です。具体的な方法は?
(1) 目標の神経路を治療者が指定
患者は麻痺した手足を動かそうと努力して生じる様々な運動の中から目標の運動を探すこと、つまり、多くの「試行錯誤」の中で目標の神経路(運動)を探し出すことが求められます。 しかし、治療者が患者の運動開始時に目標の神経路を教える操作を行なえば、この「試行錯誤」を減らせます。 (a) 促通反復療法(Repetitive Facilitative Exercise): 治療者が「人差し指を伸ばして」など運動を指示すると同時に、促通操作を行って、患者が目標の運動を容易に実現し、それを100回づつ反復して、麻痺の改善を促進します。この強力な治療を陳旧例(罹病期間:平均4年)へ短時間かつ低頻度で3カ月行うと、麻痺の改善が肩肘で66%、手指で44%に生じ、従来の治療より効果的です。
(c) 革新的ロボットでの訓練:促通機能つきロボットは世界でも最先端のロボットです。
(i)促通機能(電気刺激二つ、振動刺激二つ)付きモーター能動免荷リーチングロボットです。課題は二つのスイッチ(手前:青色、上方:黄色)を交互に押すことです。患者さんは促通機能(電気刺激二つ、振動刺激二つ)によって楽に自動で上方へリーチング出来ますから、効果的な訓練となります。
(ii)ロボットの全体像と低い目標へのリーチンングと高い目標へのリーチングです。
(iii)促通機能(伸張反射、電気刺激、振動刺激)付き前腕回内・回外ロボットです。前腕の回外が改善すると手を胸や顎に近づけることが楽になり、回内が改善すると目標物に手を伸ばして掴むことが楽になります。
*(a)(b)(c)を併用することで、より効果的な治療となります。